高齢者の入浴

冬の入浴の危険性で「ヒートショック」はよく知られていますが、「熱中症」も同じくらい危険ということをご存じですか? 「えっ!熱中症って夏じゃないの?」と思われがちですが、実は冬の熱中症も危険ということが知られるようになってきたのです。今回は、「冬の熱中症」についてご紹介いたします。

異常死の1割を占める入浴中の事故死

東京都監察医務院では、東京都23区の異状死(年間約13,400件)の検案を実施。その内、約1割にあたる1,400件が死亡直前の行動が入浴中であったことを報告しています。また、年齢構成では高齢者に多く、発生時期も冬季に多いとしています。

■過去 10 年間 (平成 17 年~平成 26 年) の月当たりの平均件数と 1日当たりの平均件数

 月 1 2 3 4 5 6
10年間の平均件数 216.0 168.6 148.6 106.0 73.9 52.9
1日あたりの平均件数 7.0 6.0 4.8 3.5 2.4 1.8
 月 7 8 9 10 11 12
10年間の平均件数 37.8 31.8 33.8 68.9 114.6 187.0 1239.9
1日あたりの平均件数 1.2 1.0 1.1 2.2 3.8 6.0 3.4

※ 東京都 23 区における入浴中の事故死の推移:東京都監察医務院調べ

冬における入浴中の事故死

ヒートショックの危険性はもちろんですが、千葉大学の研究チームでは「41度以上で30分以上入浴すると死亡する危険性が高まる」と報告しています。下記は、41℃のお湯での入浴時間における体温変化です。

入浴時間 入浴前 5分 10分 15分 20分
体温 36.7℃ 37.2℃ 37.8℃ 38.2℃ 39.0℃

なんと20分の入浴で「体温は39℃まで上昇する」のです。

高齢者は、体温の上昇を感じにくい

体温の上昇は「のぼせ」という症状で知ることができます。「のぼせ」は軽度の熱中症ともいえるので、長湯で「のぼせ」を感じることで、重度の熱中症になることを未然に防ぐことができます。しかし、高齢者はこの「のぼせ」を感じなくなるため、熱中症になる危険性が高くなるのです。

入浴事故の予防(熱中症対策)

  • 入浴は41℃以下で10分まで。
  • 湯船で寝ない。
  • お湯の栓が手に届くところでつかる。※溺れるのを防ぐ。
  • 入浴前に水分補給をする。
  • 入浴前にお酒を飲まない。